逮捕されて釈放・保釈をご希望の方へ

釈放・保釈刑事事件で逮捕されてしまったら、早急な身柄の解放を目指すべきです。

身柄拘束が続くと、周囲への影響が大きくなって社会復帰がどんどん困難になってしまうからです。

今回は、逮捕・勾留されたときに釈放してもらう方法について、名古屋の弁護士が解説いたします。

 

1.身柄拘束が続くことによる不利益の内容

逮捕勾留による身柄拘束期間が長びくと、以下のようなリスクが発生します。

 

1-1.家族に心配・迷惑をかける

家族に「いつ戻ってくるのだろう?戻ってこなかったらどうすれば良いのだろう?」と不安な思いをさせ、心配をかけることになります。場合によっては心配だけで済まず離婚問題に発展してしまうケースもあります。

 

1-2.勤務先に迷惑をかける

長期間欠勤することにより、勤務先には多大な迷惑をかけることになってしまいます。特に無断欠勤の場合、解雇のリスクも発生します。

 

1-3.解雇・失職のリスク

多くの会社では「2週間以上の無断欠勤」が懲戒解雇理由とされています。逮捕後勾留されて会社に何の連絡もせずに無断欠勤を続けていると、懲戒解雇される可能性が高くなります。自営業などの方の場合にも、長期間取引先と連絡できなくなったり店を開けられなかったりして信用をなくし、経営が傾いたり廃業に追い込まれたりする可能性があります。

 

1-4.退学のリスク

学生の方が逮捕されたら退学のリスクを心配せねばなりません。とくに評判を重んじる私立の学校では逮捕されたと知られただけで退学処分とされる可能性もあります。

退学はされなくても長期間授業に出席できずテストを受けられないことによって留年してしまうリスクが高くなります。

以上のように、身柄拘束期間が長引くとさまざまな重大な不利益が及ぶので、早めに釈放へ向けた活動をしなければなりません。

 

2.身柄を解放してもらう方法

逮捕後、身柄を解放してもらうにはどのような方法があるのでしょうか?

 

2-1.在宅捜査

逮捕されても、引き続き「勾留」されなければ逮捕後3日以内に身柄を解放してもらえます。釈放後も「在宅捜査」となって捜査自体は継続しますが、外で普通に生活できるので身柄拘束に伴うさまざまな不利益を受けずに済みます。

在宅捜査にしてもらうためには、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを検察側に納得させる必要があります。

 

2-2.準抗告、勾留執行停止、勾留取消

勾留された場合、勾留を止めさせる方法がいくつかあります。

1つは準抗告です。これは「勾留決定」に対する異議申立です。準抗告が通れば勾留決定の効力がなくなって身柄を解放されます。

勾留執行停止は、病気治療などの必要のある場合に申立によって勾留を一時停止する手続きです。

勾留取消は勾留の原因となった事情がなくなったときに申立によって勾留決定を取り消すことです。取り消されると勾留の効力がなくなるので釈放されます。

 

2-3.不起訴処分

勾留を途中で止めさせることができなかった場合、もっとも早く釈放してもらう方法は「不起訴処分の獲得」です。不起訴処分とは、検察官が「被疑者を起訴しない」と決定することです。不起訴になれば刑事手続は終了するので、その時点で身柄を解放してもらえますし、刑事裁判にもならないので有罪判決を受ける可能性もありません。

身柄拘束されているケースだけではなく、在宅捜査になって身柄拘束されていないケースにおいても不起訴処分の獲得は重要です。

 

2-4.保釈

不起訴処分を獲得できず起訴されてしまった場合には「保釈」によって身柄を解放してもらえます。

保釈とは、刑事裁判で判決が出るまでの間、仮に被告人の身柄を釈放する手続きです。

起訴前の被疑者の段階では保釈が認められませんが、起訴されて刑事裁判となれば、被疑者には保釈申請する権利が与えられます。

保釈には「権利保釈」と「裁量保釈」の2種類があります。権利保釈とは一定の要件を満たす場合に必ず認められる保釈です。

裁量保釈は、権利保釈の要件を満たさないケースであっても裁判所が裁量によって認める保釈です。

 

2-5.権利保釈の要件

  • 死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮に該当する犯罪ではない
  • 前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮に該当する罪で有罪判決を受けていない
  • 長期3年以上の懲役・禁錮に該当する常習の犯罪ではない
  • 罪証隠滅のおそれがない
  • 証人威迫のおそれがない
  • 氏名不詳、住居不定ではない
  • 逃亡のおそれがない

たとえば窃盗や痴漢などで逮捕された場合、前科がなく証拠隠滅や証人威迫、逃亡のおそれもない場合には保釈してもらえる可能性が極めて高くなります。

また上記を満たさないケースでも裁量保釈が認められるケースは多いので、起訴されたらすぐにでも保釈申請しましょう。

 

3.保釈申請の方法と流れ

3-1.保釈申請の方法

起訴後に保釈してもらうには、裁判官に「保釈申請書」を提出します。裁判官がその内容を検討し、保釈を許可するかどうかを決定します。

保釈が認められればすぐに被疑者の身柄が釈放されます。

 

3-2.保釈保証金について

保釈によって実際に身柄が釈放されるには「保釈保証金」の納付が必要です。金額はケースにもよりますが、一般的な事案ではだいたい150~200万円程度です。全額を一括で納付する必要があるので、保釈申請をしたい場合には事前にお金を用意しておく必要があります。

納付した保釈保証金は、後に判決が出て保釈の効果が無くなったら返金されます。ただし保釈中に被告人に不良な行為があったり逃亡したりすると、保釈保証金が没収される可能性があります。

 

3-3.保釈申請後釈放されるまでの流れ

  • 保釈申請
  • 保釈と保釈保証金の決定
  • 保釈保証金の納付
  • 釈放

かかる期間は1日~数日です。保釈保証金をすぐに納付すれば、起訴後1~2日程度で釈放してもらえるケースもあります。

 

4.身柄解放への活動を進めるには弁護士が必要

在宅捜査や不起訴処分に向けた働きかけ、勾留の効果を争う手続き、保釈申請のどの場面でも必ず刑事弁護人が必要です。お一人ではこうした身柄解放に向けた活動はできません。

名古屋で逮捕されたら早期釈放を目指すため、すぐにでも弁護士までご相談下さい。

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