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詐欺罪で逮捕、有罪判決を受けるとどうなるのか
詐欺罪とは、「人を欺いて財物を交付させた」場合に成立する犯罪です(刑法246条1項)。本記事では、詐欺罪で逮捕され、有罪判決を受けるとどうなるのかについて解説します。
1 詐欺罪とは
詐欺とは、人を欺いて財物を交付させ、その占有を取得しまたは財産上の利益を得る行為をいいます。オレオレ詐欺や結婚詐欺、架空請求も詐欺に当たります。
2 詐欺罪で逮捕されてしまうと
詐欺罪は重罪であり近年社会の注目度も高いですから、逮捕後に入念な取調べがされます。さらに勾留によって身柄拘束が継続されることが多いです。その結果、逮捕後の身柄拘束は3日間、勾留は最長20日と最大23日もの長期にわたることもあり、その場合に逮捕者が受ける精神的負担、金銭的負担、社会的評価の失墜といった不利益は重大なものです。
3 詐欺罪で有罪になるとどうなるのか
詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役です(刑法246条1項)。有罪になれば罰金では済まない重罪ということです。未遂に終わった場合も罰せられます。
平成29年度犯罪白書によれば、詐欺罪で起訴された4156件のうち1954件、47%で実刑判決が下されています。詐欺罪で起訴されてしまえば約半分は刑務所に入らなければならなくなるということになります。さらにそのうちの4割近くが3年を超える禁固又は懲役という厳罰が下されています。
近年振り込め詐欺等の組織犯罪が社会問題となっていることから、今後も詐欺罪の厳罰化の傾向は続くと考えられます。
詐欺罪で有罪判決が下れば、その後の人生に与える影響は重大といえるでしょう。
4 依頼を受けた弁護士の活動
(1) 逮捕後の接見
弁護士はまず逮捕された方へ接見に参ります。刑事事件の被疑者として逮捕されると、外界と遮断された状態で捜査機関からの連日・長期間の取調べをうけることになります。身体を拘束され、日常生活と異なる空間では、拘束状態自体が不安や心細さを感じます。さらに被疑者は、密室の取調室で捜査官による取調べを受けます。外部との連絡は制限され、捜査官の発言の真偽も確かめることはできません。
そこで弁護士としてはいち早く接見を行い、弁護士は法律上の被疑者・被告人の権利を説明します。また、お話を伺ったうえで、取調べにおける諸注意を行ったり、弁護活動の方針を立てたりするなどの手助けをいたします。
詐欺罪での起訴及び実刑判決を防ぐためには、逮捕後一刻も早く弁護士に相談をすることが重要です。刑事弁護は時間との勝負です。初回接見が数時間遅れるだけで違法な取調べや不用意な供述により不利な自白調書が作られてしまう可能性があります。
(2) 早期釈放に向けた活動
逮捕・勾留後であっても準抗告という手続きにより身柄拘束が解かれる可能性があります。依頼を受けた弁護士は準抗告の手続のための証拠収集、検察官や被害者との交渉といった事務手続きをすぐに行い、一刻も早い釈放に向けた活動を致します。起訴後であれば、保釈に向けた活動も行います。
(3) 不起訴に向けた活動
次に弁護士は依頼人のお話をもとに証拠収集や詐欺被害者との示談交渉を行います。詐欺で逮捕後に起訴、すなわち裁判がなされるケースは6割程度で残りの4割は裁判をされない不起訴となります。不起訴であれば前科はつきません。起訴不起訴の判断は有罪にできる証拠の存否や犯罪の重大性、被害者の意思を考慮してなされます。このため、起訴の前にどれだけ証拠収集をして、また、被害者と示談を成立させることが自由の身になることにつながります。
弁護士は依頼を受けた後、不起訴を目標に被害者と被害弁済等の話し合い、検察官との交渉を重ねます。
(4) 起訴後の活動
起訴されてしまった場合、できる限り執行猶予及び刑期の短縮に向けた活動をします。被害者との示談が成立していたり身元引受人がいたりする場合、執行猶予や刑期短縮の可能性は高まります。
弁護士としては被害者の方やご家族の方と粘り強く交渉し、示談成立や身元引受の約束のために尽力いたします。
(5) 無罪を主張したい
詐欺はときに複雑に入り組んだ組織犯罪となりますので、全容を知らない間にいつの間にか詐欺の片棒を担がされていた、という場合があります。しかし、詐欺罪は自身が詐欺をしていることの認識がなければ成立しません。詐欺に関わった覚えがないのに逮捕されてしまった場合は、不起訴又は無罪獲得を目指します。