- 自宅に警察が来て、家の中を捜索すると言われた!
- いきなり警察が訪ねてきた!何をされるのか?
いきなり警察が自宅にやってきたら、多くの方が何事かと思うでしょう。まして「室内を捜索します」などと言われたら「何をされるのか?」と不安になるのも当然です。
自宅に警察がやってきた場合、その目的と適切な対処方法を正しく知って対応する必要があります。
今回は自宅に警察がきたときの対処方法について、名古屋の弁護士が解説します。
このページの目次
1.自宅に警察が来る目的
あなたの自宅に警察が訪ねてきた場合、いくつかの理由が考えられます。
1-1.訪問調査
一般の方を対象に警察が「訪問調査」を行うケースがあります。訪問調査とは、警察が管轄内の家庭や事業所などを訪れて警察に対する要望や日頃の不安などを聞き取り、必要な対策に役立てるものです。この場合、犯罪とは無関係に一般の方が対象となるので警察が来てもとくに構える必要はありません。特に要望や問題がなければ「大丈夫です」などと答えたら帰ってもらえます。
1-2.犯罪調査の一環
近隣で犯罪が起こった場合や犯罪について事情を知っている方の場合、事情を聞きに警察が訪れる場合があります。被疑者として疑われていなければ、普通に知っていることを受け答えすれば特に問題ありません。
詳しい事情をご存知の方の場合、警察に呼ばれて参考人として聴取を受けて調書を取られる可能性があります。
1-3.逮捕
警察が被疑者を逮捕するために自宅を訪れるパターンもあります。この場合には逮捕状を示されてそのまま警察に連行されます。また任意同行を求められる場合もあります。
1-4.家宅捜索
逮捕されなくても、警察が「家宅捜索」のために自宅を訪ねてくるケースがよくあります。
被疑者がいるけれども逮捕できるだけの証拠が揃っていないため、証拠集め(捜査)の一環として自宅内を捜索する場合が多数です。犯人によって証拠隠滅されるおそれがある場合などにも、早期の段階で捜索差押えが行われます。
2.家宅捜索が行われたら逮捕につながるケースがある
警察が家宅捜索を行ったら、その後はどのような展開が予想されるのでしょうか?
家宅捜索は、犯罪の証拠集めのために行うものです。自宅内で犯罪の証拠が発見されたら、それをもとに逮捕される可能性が高くなります。
3.家宅捜索の要件
家宅捜索は、「強制処分」と呼ばれる捜査方法であり、警察や検察が被疑者に対し強制的に行えます。被疑者は強制処分を拒むことができません。
ただし強制処分は国民から自由を奪ったり権利を制限したりする重大な行為なので、認められるには一定の要件を要求されます。
家宅捜索が行われる際には必ず「裁判所の発行する捜索差押令状」が必要です。捜査機関が恣意的に家宅捜索を行うと国民が安心して生活できなくなってしまうので、捜査機関は事前に「捜索差押えの必要性」を示して裁判所から許可を得ないといけない仕組みになっているのです。
警察や検察が家宅捜索するときには、必ず対象者に裁判所から発行された「捜索差押令状」を提示しなければなりません。捜索差押令状には以下のような内容が記載されています。
- 被疑者・被告人の氏名
- 被疑罪名
- 捜索対象の場所、身体や対象物
- 差し押さえるべき物
通常、警察官が自宅にやってきて「家宅捜索(捜索差押え)をします」というときには、真っ先に被疑者へ捜索差押令状を示します。
4.家宅捜索を妨害したらどうなる
もしも家宅捜索されそうになり、拒否したり妨害したりしたらどうなるのでしょうか?
4-1.警察官に暴行を振るい実力行使で妨害した場合
自宅に入ろうとする警察官を止めようとして暴行を振るった場合などには「公務執行妨害罪」が成立します。
4-2.捜索差押令状を破った場合
示された捜索差押令状に納得できず、感情的になって破った場合には「公用文書毀棄罪」が成立します。
適法に捜索差押えが行われる場合、拒絶することは不可能です。
5.捜索差押えの範囲と差押え物の返還
家宅捜索が行われるとき、家中のものがくまなく荒らされ探し回られるわけではありません。
捜査機関が捜索差押えの許可を取るときには、差し押さえをする場所(身体、物)や差押え対象物を明示しなければならないからです。捜索差押令状があっても、無関係な物までやみくもに差し押さえると違法です。
また差押えによって「犯罪に関係すると思われるもの一式」を回収される可能性はありますが、無関係なものや不要なものは後ほど還付されます。
6.家宅捜索されそうになったときの対処方法
6-1.まずは捜索差押え令状の提示を求める
家宅捜索には必ず捜索差押令状が必要なので、令状を提示せずに捜索されそうになったら必ず令状の提示を求めましょう。相手が令状を持参していない場合には家宅捜索を拒否し、帰ってもらって大丈夫です。
6-2.違法な差押えが行われていないかチェックする
捜索差押令状がある場合には家宅捜索を拒否できません。
ただし捜索できる範囲は限られているので、きちんとその範囲内で家宅捜索が行われているかチェックしましょう。まずは捜索差押令状に書かれている捜索場所、差押え対象物と罪名をしっかり確認し、関係ない場所を捜索していないか、対象になっていない物を持って行かないかなど見張ります。
もしも関係ない場所を探されたり対象外の物を持って行かれそうになったりしたら、抗議しましょう。その様子を録音録画しておくのも有効です。
7.逮捕・家宅捜索が心配なら弁護士に相談を
逮捕や家宅捜索が心配なら、弁護士に相談することによって不安を解消し不利益を最小限にできます。
家宅捜索を受ける前に弁護士に相談すれば、効果的な対処方法を具体的に知ることができます。
家宅捜索を受けた後でも、その後の逮捕や起訴を避けるためにできることがあります。たとえば被害者のいる事件なら、弁護士が代理人として早期に示談交渉を進め、和解することにより逮捕を避けられる可能性が高くなります。
犯罪の疑いをかけられたときお一人でできることは限られています。名古屋で被疑者の立場になってお困りなら、お早めにご相談下さい。