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飲酒運転で有罪になるとどうなる?逮捕されてしまった場合の対処法
第1 飲酒運転について
飲酒運転に関しては、酒気帯び運転と酒酔い運転の二種類が存在します。酒気帯び運転とは、呼気検査の結果呼気1リットル中のアルコール量0.15mgが検出される場合です。また、呼気1リットル中のアルコール量が0.25mgの場合、より重い酒気帯び運転となります。
他方、酒酔い運転とは、体内のアルコール量に関係なく、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」での運転です。実際には、まっすぐ歩けるかどうか、視覚が健全に働いているか、運動・感覚機能が正常か、言動などから判断・認知能力の低下がないかといった点を総合的に考慮して判断します。
第2 飲酒運転で人身事故を起こしてしまったらどうなるのか
飲酒運転で人身事故を起こしてしまった場合、上記の道交法違反に加えてさらに罪が増えてしまいます。具体的には、相手に怪我をさせてしまったり死亡させたりしてしまった場合、過失運転致死傷罪が成立します。この場合の罰則は「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」です。
さらに、単なる酒酔いではなく運転前に千鳥足になっていたとか、ハンドルがうまく操作できない、意識が朦朧としていたなど、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」に陥っていた場合に相手を死傷させてしまうと、より重い危険運転致死傷罪が成立します。この場合の罪は重く、怪我をさせた場合には「十二年以下の懲役」、死亡させてしまった場合は「十五年以下の懲役」です。
第3 飲酒運転で事故を起こして逃走してしまうとどうなるのか
交通事故を起こし、怖くなって逃げてしまうと、さらに道交法違反となります。もし人に怪我をさせて救護をしない場合、「十年以下の懲役又は百万円以下の罰金」となってしまいます。
第4 飲酒運転で逮捕された後の流れ
逮捕された場合、警察で身柄拘束が行われ身柄拘束中に取調べが行われます。
このとき、単なる飲酒運転で捕まった場合はすぐに釈放され、初犯なら不起訴処分とされることも多いです。しかし、人身事故の場合は起訴率が高く、不起訴処分があまり期待できません。とはいえ、被害者が軽傷であったり示談が成立したりしていれば、執行猶予付きの判決を得やすいです。執行猶予つきの判決であれば、執行猶予期間を無事に過ごせば前科も取り消されるため、適切な対応をすることで社会的生活に影響をほとんど残さないで済むことができるかもしれません。他方で、取り調べで不適切な対応をすれば執行猶予が付かず刑務所に行く可能性が高まります。そこで、できる限り取調べの前に弁護士と接見をし、弁護活動に向けた作戦を立てるべきといえます。
なお、ご自身が逮捕された後でも、警察に弁護士を呼ぶように要求することができます。
第5 依頼を受けた弁護士の活動
1 逮捕後の接見
逮捕者のご家族の方から相談をうけると、弁護士はまず逮捕された方への接見に参ります。弁護士としてはいち早く接見を行い、弁護士は法律上の被疑者・被告人の権利を説明します。また、お話を伺ったうえで、取調べにおける諸注意を行ったり、今後の弁護活動の方針を立てたりするなどのお手伝いをし、不要な自白をしないための心構えを授けます。
2 早期釈放に向けた活動
逮捕・勾留後であっても準抗告という手続きにより身柄拘束が解かれる可能性があります。依頼を受けた弁護士は準抗告の手続のための証拠収集、検察官や被害者との交渉といった事務手続きをすぐに行い、一刻も早い釈放に向けた活動を致します。起訴後であれば、保釈に向けた活動も行います。
3 執行猶予の獲得に向けた活動
上述の通り、執行猶予の獲得に向けては被害者の方との示談や処罰意思が重要です。また、裁判例ではご家族や雇用主が出所後の支援を約束していること、前科前歴がないこと等の事実を重視して執行猶予の有無や刑期の長短を決定しています。
そこで弁護士としては被害者の方と示談交渉を行ったり損害賠償の手続を行ったりするほか、ご家族や勤務先の方と交渉して監督・支援をお願いしたりするなど執行猶予付き判決獲得に向けた活動を致します。