準抗告
快挙!勾留延長の裁判に対する準抗告を勝ち取りました。
プライバシーの観点から、一部を朱抹しますが、当職が、5月25日に申し立てた準抗告審が認められました。勾留の裁判に対する準抗告審はもちろんですが、感覚的には、勾留延長に対する認容決定に対する準抗告審で覆されるのは異例といえると思います。
弁護人服部勇人からの準抗告の申立てがあったので、当裁判所は次のとおり決定する。
1 原裁判を取り消す。
2 本件勾留期間延長請求を却下する。
本件は,被疑者が,金の無心に当たって実父を脅迫したという事案であるところ、本件の終局処分を決するには,原裁判が「鑑定未了」として掲げた所要の捜査を遂げる必要はあると認められる。
もっとも,その余の捜査の進捗状況や,被疑者の捜査段階供述を通覧しても,被疑者が本件を殊更否定する態度であるとはうかがい難く,むしろ本件の動機経緯や態様等についても相応に詳細な供述をしているとも見られることに加え,今般,被疑者が実父に対する謝罪の態度を示し,本件の背景となった負債の整理の検討等を誓約していること,この誓約を受けて実父が被害届を取り下げたこと、弁護人が被疑者の破産相談の道筋を付けたこと,実姉が被疑者と実父らを接触させないことや被疑者の債務整理への協力を申し出ていることなども考え合わせると,新たな金の無心に伴うものも含め被疑者が現に罪証隠滅行為に及ぶおそれは相当程度低減しているものといえる。また,被疑者に前科がなく、定職を有していること等も併せれば、逃亡のおそれも乏しい。少なくとも現時点では勾留の必要性は認め難く,前記捜査は在宅での捜査で足りると考えられる。そうすると,結局,本件勾留期間を延長することがやむを得ないというべき事由は認められないことに帰する。
よって,本件準抗告は理由がある。(刑事訴訟法432条,426条2項)