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のぞき・盗撮とは?痴漢で逮捕されてしまった場合の対処法
第1 のぞき・盗撮について
(1) のぞき又は盗撮で逮捕される場合、各地方自治体の迷惑行為防止条例違反の場合と軽犯罪法違反の場合があります。
例えば、愛知県の迷惑行為防止条例では、次のような場所で衣服等で覆われている人の身体又は下着の撮影やカメラの設置、カメラを向けることも禁止されています。
- 公共の場所、乗物
- 公衆浴場、公衆トイレ、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所
- 学校や会社のトイレ、更衣室
- ホテル・民泊
- インターネットカフェ、カラオケボックス
- マンションの共有部分
条例の罪だからと言って軽いわけでは無く、刑罰は「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」です(15条1項)。懲役とは、刑務所内で労役に服する刑罰です。
(2) また、軽犯罪法では、以下のように定められています。
軽犯罪法第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。 二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者 |
「拘留」とは、30日未満刑事施設に拘置する刑罰、「科料」とは1万円未満の金銭を取り立てる刑罰です。まだ軽いとはいえ、前科が付くという点では同様です。
第2 のぞき・盗撮で逮捕されてしまった場合の対処法
ご自身やご家族がのぞき・盗撮で逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士にご連絡することをおすすめします。刑事事件を少しでも納得のいく結果で終わらせるにはできるだけ早く弁護士に連絡をすることが重要です。
のぞき・盗撮で逮捕された場合、他の犯罪でもそうですが、身柄拘束中に取調べが行われます。ここで不用意な自白をしてしまえば、その後の弁護活動が大きく不利になってしまいます。そこで、できる限り取調べの前に弁護士と接見をし、弁護活動に向けた作戦を立てるべきといえます。初回の接見が数時間遅れるだけで違法な取調べや不用意な供述により不利な自白調書が作られてしまう可能性もあるのです。取り調べは外部からの連絡を断ち切った状態で行われます。なかなか自白をしない場合には連日何時間も取調べがされることもありますので、精神的に疲弊しきって不用意な自白をしてしまうことにもなりかねません。捜査機関はプロですから、事前に弁護士から的確な助言を受けずに取調べに臨むのはとても危険です。
以上の点から、痴漢により逮捕された場合、まずは弁護士に相談するのがベストな対処法と言えるでしょう。なお、ご自身が逮捕された後でも、警察に弁護士を呼ぶように要求することができます。
第3 罪を認めればすぐに出てこれるのか
のぞき・盗撮により迷惑行為防止条例や軽犯罪法で逮捕される場合、多くが現行犯逮捕なのですが、初犯であれば罪を認めることで略式起訴と呼ばれる簡易な裁判手続きがおこなわれます。そして罰金となり、ほとんど身体拘束を受けずに済むことが多いのです。もっとも、罰金とはいえ前科はついてしまいます。また、のぞきや盗撮を認めたことになるので社会的信用が著しく失墜することになります。
前科のデメリットとしては一部の業種(警備、国家公務員)に就くことができなくなること、海外旅行の際にビザの申請が必要になることがあります。このような前科は5年すれば消滅してしまい法的効力を失います。そのため、5年程度ならなんでもないという方には、すぐに罪を認めて釈放されることを選ぶ方もいるかもしれません。
第4 依頼を受けた弁護士の活動
(1) 逮捕後の接見
逮捕者のご家族の方から相談をうけると、弁護士はまず逮捕された方への接見に参ります。刑事事件の被疑者として逮捕されると、外界と遮断された状態で捜査機関からの連日・長期間の取調べをうけることになります。日常生活と異なる空間では、拘束状態自体が不安や心細さを感じさせます。接見禁止命令が出された場合は、家族との面会もできなくなります。外部との連絡は制限され、捜査官の発言の真偽も確かめることはできません。
そこで弁護士としてはいち早く接見を行い、弁護士は法律上の被疑者・被告人の権利を説明します。また、お話を伺ったうえで、取調べにおける諸注意を行ったり、今後の弁護活動の方針を立てたりするなどのお手伝いをいたします。
(2) 早期釈放に向けた活動
逮捕・勾留後であっても準抗告という手続きにより身柄拘束が解かれる可能性があります。依頼を受けた弁護士は準抗告の手続のための証拠収集、検察官や被害者との交渉といった事務手続きをすぐに行い、一刻も早い釈放に向けた活動を致します。起訴後であれば、保釈に向けた活動も行います。
(3) 不起訴に向けた活動
逮捕後に必ず裁判がされるわけではなく、逮捕されたとしても起訴されるとはかぎりません。特に初犯で前科もなければ不起訴になる可能性は十分にあります。起訴不起訴の判断は有罪にできる証拠の存否や犯罪の重大性、被害者の意思を考慮してなされます。このため、起訴の前に被害者との示談交渉が成立させられるか、どれだけ証拠収集をするかが重要です。弁護士は依頼を受けた後証拠収集に努め、被害者や検察官との交渉を重ねます。
(4) 起訴後の活動
起訴されてしまった場合、できる限り執行猶予及び刑期の短縮に向けた活動をします。被害者との示談が成立していたり身元引受人がいたりする場合、執行猶予や刑期短縮の可能性は高まります。