少年審判の流れ

未成年が犯罪行為をしてしまうケースは少なくありません。万引きやひったくり、恐喝、最近ではオレオレ詐欺に関わる未成年も増えています。また未成年の場合、具体的な犯罪行為をしなくても保護者の監督に従わないなどの「非行傾向」があるだけで補導されて少年審判となる可能性があります。

未成年の子どもが逮捕されたときには、成人とは異なる流れで手続きが進んでいきます。

今回は子どもが逮捕されたときの流れを弁護士が解説します。

 

1.少年事件とは

成人が逮捕されたら3日以内に引き続き勾留されるかどうかが決まり、その後検察官が「起訴」するか「不起訴」にするかを決定します。起訴されたら刑事裁判の「被告人」となり、判決が出たら有罪か無罪かが決まり、有罪の場合には刑罰も言い渡されます。

これに対し、未成年者が逮捕された場合には「少年事件」という手続きになり成人の刑事手続とは流れや最終処分が変わります。少年事件の手続きは「少年法」という法律によるものですが、少年法の目的は成人の刑事事件とは異なり「少年を保護し、社会に適応できるように矯正する」ことです。よって少年審判では少年に「刑罰」を与えません。

ただし未成年であっても14歳以上で重大な事件を起こした場合には成人の刑事事件と同じ手続きになる可能性もあります。

 

2.少年事件の流れ

少年事件における逮捕後の流れは、以下の通りです。

 

2-1.逮捕後検察官に送られる

未成年者が逮捕された場合にも、成人と同様に48時間以内に検察官の元へ送られます。

少年事件の流れ

2-2.釈放される、あるいは勾留または観護措置がとられる

逮捕後3日以内に少年の身柄を引き続いて拘束するかどうかが決まります。身柄拘束されない場合には釈放され、在宅のまま捜査が行われます。身柄拘束される場合「勾留」または「勾留に代わる観護措置」となります。勾留は成人と同様に身柄拘束する手続き、観護措置は家庭裁判所少年鑑別所に身柄を送って心身鑑別などを行う手続きです。ただし少年事件の場合、勾留されても少年鑑別所へ送られるケースが多々あります。

勾留や家裁送致前の観護措置の期間は10~20日間です。

少年事件の流れ

2-3.家庭裁判所に送られる

少年事件では成人の刑事手続のような「不起訴処分」に相当する処分がなく、基本的に全件「家庭裁判所へ送致」されます。

家庭裁判所送致前に少年鑑別所で身柄拘束されていた場合、引き続いて鑑別所で身柄拘束されるケースが多数です。身柄拘束は少年審判までの3~4週間継続します。

少年事件の流れ

2-4.調査官による調査が行われる

少年が鑑別所にいる間、家庭裁判所調査官による調査が行われます。親も家庭裁判所に呼び出されてこれまでの少年の生育状況や素行、家庭環境や親子関係などさまざまなことを聞かれます。また調査官は鑑別所に行って少年からも直接話を聞き、学校などの関係機関からも聞き取り調査などを行います。このようにして、調査官が少年の処遇について意見をまとめます。

調査の結果、少年審判を開く必要がないと判断されたら審判不開始となって身柄が解放される可能性もあります。

少年事件の流れ

2-5.審判で処遇が決定される

家庭裁判所で「審判」が開かれます。審判には少年と保護者、審判官と書記官が出席し、少年に付添人弁護士がついている場合には付添人も出席します。成人のように「検察官」が関わることはありません。

審判で審判官(裁判官)から少年や少年の親に質問などが行われ、最終的に審判官が少年の処遇を決定します。

処遇の種類は、以下のとおりです。

  • 保護観察
    少年を自宅に戻し、保護観察所の元で指導監督する処分です。保護観察になった場合には少年は自宅に戻ってこれまでと同じ生活を続けられます。
  • 少年院送致
    自宅に戻ると非行傾向が強まるおそれが高い場合には少年院へと送致されます。送致される期間はケースによって異なり、数か月~2年程度になる例が多数です。
  • 不処分
    非行傾向が軽微で保護処分をとらなくても更生できる場合には不処分となる可能性もあります。
  • 検察官送致
    14歳以上の少年が重大犯罪を犯した場合には、検察官へ送られて成人と同じ刑事手続を受けさせられる可能性があります。この処分のことを俗に「逆送(検察官から送られてきた少年を逆に検察官に送り返すため)」といいます。
  • 都道府県知事や児童相談所長への送致
    少年の非行傾向が小さく児童福祉機関の指導に委ねるのが良いと判断されるときにとられる措置です。件数としては少数です。

 

3.少年事件の対応で大切なこと

少年事件では、身柄拘束期間が長引くことによる不利益を小さくする必要があります。

逮捕されてから観護措置が少年審判まで続くと、2か月弱くらい身柄拘束を受け続けることとなり学校にも一切登校できない状態が続きます。私立の場合には退学のリスクも高くなりますし、テストを受けられず留年してしまう可能性もあるでしょう。

身柄拘束によるリスクを低下させるため、弁護士は少年の付添人となって検察官に勾留や観護措置の決定をしないように働きかけ、勾留されたとしても期間をなるべく短期にするように求めます。家庭裁判所に送致された後も、観護措置を解くように要求します。

また少年審判で「少年院送致」と決定されると、数か月~数年間少年が施設に収容されるので大きな不利益が及びます。少年院送致を避けるには、調査官調査の段階で「少年が自宅で更生できること」を説得的に主張して納得させる必要があります。審判は調査官の意見に大きく左右されるため、調査官に「保護観察相当」という意見を書いてもらうことができれば保護観察処分となる可能性が大きく高まります。

そのために少年の非行傾向が進んでいないこと、犯罪が軽微であること、少年が反省していること、家庭環境が整っていることなどを付添人が説得的に伝えます。保護者の方や少年本人が自分で「保護観察にしてほしい」と言っても認められるものではないので、専門知識とノウハウを持っている弁護士に付添人活動を依頼する必要があります。

当事務所では少年事件における付添人活動にも力を入れています。名古屋でお子様が逮捕されてお困りの方がおられましたら、お早めにご相談下さい。

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