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器物損壊で逮捕されてしまった場合の対処法
第1 器物損壊について
1 どういった場合に器物損壊が成立するのか
器物損壊罪(刑法261条)は、他人の物を損壊又は傷害した場合に成立する犯罪です。器物にはペットも含まれます。
「損壊」とは広く本来の効用を失わせる行為をいいます。このため物理的に破壊しなくても器物損壊が成立することはあり、壁に落書きをしたり、酔っ払って食器類に放尿をしてしまった場合にも成立します。判例は復元の容易さを一つの基準としており、ビラを1枚張る程度の場合に器物損壊は成立せず軽犯罪法違反にすぎないとしました。飲酒をして食器をわざと割ったり落書きをしただけでも器物損壊は成立してしまうので注意が必要です。
2 器物損壊が成立しない場合
物を壊してしまっても器物損壊にならない場合として、故意がなかった場合が挙げられます。器物損壊罪は故意犯なので、過失で壊してしまった場合は成立しません(刑法38条)。
3 告訴がなければ有罪にならない
器物損壊罪は親告罪です。したがって、損壊された物の所有者らが告訴、すなわち捜査機関に対し処罰を求めない限り有罪にはならないのです。ですので、器物損壊での逮捕・有罪を避けるためには被害者の方との示談交渉が重要になります。
第2 器物損壊罪の有罪になると
器物損壊罪の刑罰は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。懲役とは、刑務所内で労役に服することをいいます。科料とは、1000円以上1万円以下の軽い罰金のことを言います。
器物損壊での懲役刑は半年から2年程度の短期であることがほとんどで、執行猶予が付くことも多いです。
第3 器物損壊で逮捕された場合の対処法
ご家族が器物損壊で逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士にご連絡することをおすすめします。
刑事弁護は時間との勝負です。初回接見が数時間遅れるだけで違法な取調べや不用意な供述により不利な自白調書が作られてしまう可能性があります。また、初動が早ければ弁護士が示談交渉や資料収集を速やかに行い、逮捕に続く勾留を行わないように裁判官に訴えかけることもできます。これが遅れれば避けられたはずの勾留を受け、身柄拘束期間が長引くことになりかねません。
逮捕後の取り調べは外部からの連絡を断ち切った状態で行われます。事件によっては毎日何時間も取調べがされることもあり、精神的に疲弊しきって不用意な自白をしてしまうことにもなりかねません。捜査機関はプロですから、事前に弁護士から的確な助言を受けずに取り調べに臨むのはとても危険です。
また、接見禁止決定がされると家族であっても逮捕された人との面会はできず、弁護士のみが唯一の連絡手段となります。
以上の点から、逮捕後はすぐに弁護士への連絡をおすすめします。
第4 依頼を受けた弁護士の活動
(1) 逮捕後の接見
依頼人の方からご相談をうけると、弁護士はまず逮捕された方への接見に参ります。刑事事件の被疑者として逮捕されると、外界と遮断された状態で捜査機関からの連日・長期間の取調べをうけることになります。身体を拘束され、日常生活と異なる空間では、拘束状態自体が不安や心細さを感じます。さらに被疑者は、密室の取調室で捜査官による取調べを受けます。外部との連絡は制限され、捜査官の発言の真偽も確かめることはできません。
そこで弁護士としてはいち早く接見を行い、弁護士は法律上の被疑者・被告人の権利を説明します。また、お話を伺ったうえで、取調べにおける諸注意を行ったり、弁護活動の方針を立てたりするなどの手助けをいたします。
(2) 早期釈放・不起訴に向けた活動
逮捕・勾留後であっても準抗告という手続きにより身柄拘束が解かれる可能性があります。上記の通り器物損壊は告訴がなければ有罪にできませんから、被害者との示談が成立し告訴を取り下げられた場合には、早期釈放が期待できます。
告訴の取り下げは起訴がされてからはできませんので、依頼を受けた弁護士は証拠収集、検察官や被害者との交渉といった手続きをすぐに行い、一刻も早い釈放に向けた活動を致します。素早く示談交渉を成立させるのが早期釈放の鍵です。
(3) 起訴後の活動
起訴されてしまった場合、できる限り執行猶予及び罰金で済むように活動をします。被害者に弁償をしたり、示談が成立していたり、身元引受人がいたりする場合、執行猶予や刑期短縮、罰金減額の可能性は高まります。
弁護士としてはご家族やご遺族の方と粘り強く交渉し、示談成立や身元引受の約束のために尽力いたします。