事件別―殺人・傷害致死

殺人・傷害致死罪で逮捕された場合どうなるかどうすべきか

殺人罪は刑法199条で、傷害致死罪は205条に定められています。本記事では、殺人・傷害致死罪についてと、それによって逮捕された場合の対処、量刑の相場について解説します。

 

1 殺人・傷害致死について

殺人罪も傷害致死も人を死に至らしめることで成立する点では同じです。この二つを分けるのは「故意(殺意)」すなわち、被害者の死亡の危険を認識又は認容しながら実行行為に及んだかどうかです。人を死なせる行為をしていても、その行為が人の死を引き起こす行為であるとの認識を欠いていた場合には殺人ではなく傷害致死が成立するにとどまります。

 

2 殺人・傷害致死で逮捕されてしまうと

逮捕後は勾留も併せて最大23日もの長期にわたることもあります。殺人罪や傷害致死罪は重大事件ですから特に慎重に取り調べがなされ、身柄拘束期間は長期にわたる可能性が高いです。その場合に被逮捕者が受ける精神的負担、金銭的負担、社会的評価の失墜といった不利益は重大なものです。

 

3 殺人・傷害致死事件の量刑相場

殺人罪の刑罰は、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と定められています。「懲役」とは刑務所内で労役を受ける自由刑です。ここで、執行猶予の条件の一つに判決が「3年以下の懲役または50万円以内の罰金」というものがあります。殺人で有罪になれば5年以上の懲役の判決がでるため、未遂に終わっているなどの減軽がない限り執行猶予はなく、刑務所に行かなければなりません。

平成29年度の司法統計によれば、殺人で有罪になった231件中、無期懲役が7件ですので無期懲役は多くありません。しかし半数近くの事件で7年以上の長期の懲役の判決が出ています。殺人の量刑相場としては懲役10年~15年程度となります。

傷害致死の刑罰は、「3年以上の有期懲役」です。行為の悪質性や反省の程度によりますが、3年から8年程度の懲役が相場になります。最短で懲役3年なので、減軽がなくても執行猶予の余地はあります。

傷害致死も殺人罪も刑務所に入る可能性が高く、有罪判決が下れば、その後の人生に与える影響は重大です。

 

4 殺人・傷害致死罪で逮捕されたらまずすべきこと

ご家族が殺人や傷害致死の罪を疑われて逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士にご連絡することをおすすめします。

刑事弁護は時間との勝負です。初回接見が数時間遅れるだけで違法な取調べや不用意な供述により不利な自白調書が作られてしまう可能性があります。また、初動が早ければ弁護士が示談交渉や資料収集を速やかに行い、逮捕に続く勾留を行わないように裁判官に訴えかけることもできます。これが遅れれば避けられたはずの勾留を受け、身柄拘束期間が10日も長引くことになりかねません。

逮捕後の取り調べは外部からの連絡を断ち切った状態で行われます。事件によっては毎日何時間も取調べがされることもあり、精神的に疲弊しきって不用意な自白をしてしまうことにもなりかねません。捜査機関はプロですから、事前に弁護士から的確な助言を受けずに取り調べに臨むのはとても危険です。

また、接見禁止決定がされると家族であっても逮捕された人との面会はできず、弁護士のみが唯一の連絡手段となります。

以上の点から、逮捕後はすぐに弁護士への連絡をおすすめします。

 

5 依頼を受けた弁護士の活動

(1) 逮捕後の接見

依頼人の方からご相談をうけると、弁護士はまず逮捕された方への接見に参ります。刑事事件の被疑者として逮捕されると、外界と遮断された状態で捜査機関からの連日・長期間の取調べをうけることになります。身体を拘束され、日常生活と異なる空間では、拘束状態自体が不安や心細さを感じます。さらに被疑者は、密室の取調室で捜査官による取調べを受けます。外部との連絡は制限され、捜査官の発言の真偽も確かめることはできません。

そこで弁護士としてはいち早く接見を行い、弁護士は法律上の被疑者・被告人の権利を説明します。また、お話を伺ったうえで、取調べにおける諸注意を行ったり、弁護活動の方針を立てたりするなどの手助けをいたします。

 

 (2) 早期釈放に向けた活動

依頼を受けた弁護士は準抗告の手続のための証拠収集、検察官や被害者との交渉といった事務手続きをすぐに行い、一刻も早い釈放に向けた活動を致します。起訴後であれば、保釈に向けた活動も行います。

 

 (3) 不起訴に向けた活動

次に弁護士は依頼人のお話をもとに証拠収集や被害者の方との示談交渉を行います。逮捕後に必ず起訴、裁判がされるわけではなく、殺人では起訴されるのは3割程度です。不起訴であれば前科はつきません。起訴不起訴の判断は有罪にできる証拠の存否や犯罪の重大性、被害者の意思を考慮してなされます。このため、起訴の前にどれだけ証拠収集をするかが重要です。弁護士は依頼を受けた後証拠収集に努め、検察官との交渉を重ねます。

 

(4) 起訴後の活動

起訴されてしまった場合、できる限り執行猶予及び刑期の短縮に向けた活動をします。被害者との示談が成立していたり身元引受人がいたりする場合、執行猶予や刑期短縮の可能性は高まります。

弁護士としてはご家族やご遺族の方と粘り強く交渉し、示談成立や身元引受の約束のために尽力いたします。

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