事件別-横領・業務上横領

横領罪、業務上横領罪で逮捕されてしまったらどうすべきか

本記事では、横領罪、業務上横領罪で逮捕されたらどうなるか、どの様に対処すべきかについて解説します。

 

1 横領罪について

横領とは、自己の占有する他人の所有物について、自分のものにしたり使い込んだりと所有者の意思に反して所有者でなければできないような「処分」をすることを言います。例えば、一時的に預かっているお金の使い込みや借り物を勝手に売ってしまうことが横領にあたります。処分の時点で横領になってしまいますので、使い込んだお金を後で返すつもりだったとしても横領は成立してしまいますから注意が必要です。

業務上横領とは、業務上預けられている物を横領した場合に成立する罪です。会社のお金を預かっている社員が着服をしたり、運送業者が宅配物を自分の物にしてしまった場合に成立します。

横領罪とよく似た犯罪で背任罪(刑法247条)があります。最近では日産のカルロス・ゴーン会長が特別背任罪で起訴されたことで話題になりましたが、特別背任罪は背任罪の特別法で、会社法上で定められた特に重い背任罪ということになります。背任と横領の区別は、諸説ありますが、背任は権限濫用であり、横領は権限逸脱と言われています。つまり、物の所有権者から与えられていた権利を逸脱した行為をした場合には横領が成立し、形式的に権限の範囲内であっても所有権者を害するような行為等委託の趣旨に反する行為をした場合に背任になるということです。

これらの区別は難しいですがいずれも犯罪ですので、一定の仕事を任されるような立場になった場合にはうっかりしないように特に注意しなければなりません。

 

2 横領罪で逮捕されてしまうと

横領罪は重罪であり近年社会の注目度も高いですから、逮捕後に入念な取調べがされます。さらに勾留によって身柄拘束が継続されることが多いです。その結果、逮捕後の身柄拘束は3日間、勾留は最長20日と最大23日もの長期にわたることもあり、その場合に逮捕者が受ける精神的負担、金銭的負担、社会的評価の失墜といった不利益は重大なものです。

 

3 横領罪で有罪になるとどうなるのか

横領罪の刑罰は5年以下の懲役です(刑法246条1項)。有罪になれば罰金では済まない重罪ということです。また、業務上横領の場合には10年以下の懲役となります(253条)。

横領罪で有罪判決が下れば、その後の人生に与える影響は重大といえるでしょう。他方で、業務上横領罪であっても事件を大事にしたくないということで被害者の処罰感情が強くないことがあります。そのような場合には被害賠償や示談の成立さえすれば不起訴に終わり、前科が付かないこともあります。したがって、横領罪では逮捕後の初動が重要であり、いち早く弁護士に相談することが重要であると言えます。

 

4 依頼を受けた弁護士の活動

(1) 逮捕後の接見

依頼を受けた場合、弁護士はまず逮捕された方へ接見に参ります。刑事事件の被疑者として逮捕されると、外界と遮断された状態で捜査機関からの連日・長期間の取調べをうけることになります。身体を拘束され、日常生活と異なる空間では、拘束状態自体が不安や心細さを感じます。さらに被疑者は、密室の取調室で捜査官による取調べを受けます。外部との連絡は制限され、捜査官の発言の真偽も確かめることはできません。

そこで弁護士としてはいち早く接見を行い、弁護士は法律上の被疑者・被告人の権利を説明します。また、お話を伺ったうえで、取調べにおける諸注意を行ったり、弁護活動の方針を立てたりするなどの手助けをいたします。

横領罪での起訴及び実刑判決を防ぐためには、逮捕後一刻も早く弁護士に相談をすることが重要です。刑事弁護は時間との勝負です。初回接見が数時間遅れるだけで違法な取調べや不用意な供述により不利な自白調書が作られてしまう可能性があります。

 

(2) 早期釈放に向けた活動

 逮捕・勾留後であっても準抗告という手続きにより身柄拘束が解かれる可能性があります。依頼を受けた弁護士は準抗告の手続のための証拠収集、検察官や被害者との交渉といった事務手続きをすぐに行い、一刻も早い釈放に向けた活動を致します。起訴後であれば、保釈に向けた活動も行います。

 

 (3) 不起訴に向けた活動

次に弁護士は依頼人のお話をもとに証拠収集や横領被害者との示談交渉を行います。逮捕後に起訴、すなわち裁判がなされるケースは6割程度で残りの4割は裁判をされない不起訴となります。不起訴であれば前科はつきません。起訴不起訴の判断は有罪にできる証拠の存否や犯罪の重大性、被害者の意思を考慮してなされます。このため、起訴の前にどれだけ証拠収集をして、また、被害者と示談を成立させることが自由の身になることにつながります。

弁護士は依頼を受けた後、不起訴を目標に被害者と被害弁済等の話し合い、検察官との交渉を重ねます。

 

(4) 起訴後の活動

起訴されてしまった場合、できる限り執行猶予及び刑期の短縮に向けた活動をします。被害者との示談が成立していたり身元引受人がいたりする場合、執行猶予や刑期短縮の可能性は高まります。

弁護士としては被害者の方やご家族の方と粘り強く交渉し、示談成立や身元引受の約束のために尽力いたします。

 

(5) 無罪を主張したい

横領は、そのつもりがなかったとしてもいつの間にか使い込みをしてしまっていたなど、ときに認識のないまま横領行為に陥っていることもあります。しかし、横領罪は自身が横領をしていることの認識がなければ成立しません。横領に関わった覚えがないのに逮捕されてしまった場合は、不起訴又は無罪獲得を目指します。

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